|
水資源に関する新規制案
「Info FRESHWATER インドネシア水再構築問題の実態」
インドネシア・ピープルズ・フォーラム(5月25日〜6月7日)
のための特別版 第2巻 二〇〇二年 五月二八日
グローバリゼーションに関するインドネシア・フォーラム
(Indonesia Forum on Globalization:INFOG)
infog@bumi.net.id
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
目 次
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
♯ 前書き
♯ 形成プロセス
♯ 規制案の内容
♯ 経済的機能、民間セクターの役割
♯ 水資源評議会
♯ コミュニティの権利、義務、参加
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
前書き
水資源に関する規則案はインドネシアでの水資源包括再構築プログラムの一部
である。このプログラムは、アジア開発銀行、世界銀行、国際通貨基金を含めた、
国際金融機関によって共同して支持されている。
この再構築プログラムを正当化することを提案し、緊急性を示す基本的な理由
とは、以下のような状況である。つまり、「命やコミュニティの生活の主要な要
素としての水資源供給が減少する傾向にあるが、一方で、人口や経済活動が増加
していて、水への人々の必要性が増加している。というのも水は管理され、保全
され、人々の福祉という目的のために適切に利用され、保全されなければならな
い」。(水資源規制案、八月二三日二〇〇一年版)
こうした理由とは別に、インドネシアの様々な地域での水が、淡水の過剰利用
や、清水が管理され得ない利用によって、希少になってきている。これは水が自
由財であるという長年人々が持っている信念によって引き起こされている。私達
は、新しい視点を社会的に広める必要があり、水がもはや自由財ではなく、経済
的価値を持つ商品なのであるというのが、水資源の危機を避けるための理由だと
している。
そして、今、国際金融機関は、この新しい視点を促進しようとしている。イ
ンドネシア政府とIMFによって合意された一九九九/二〇〇〇と二〇〇〇の
経済財務政策中期戦略及び政策の覚書を例にしてみよう。
覚書では、天然資源管理において、インドネシア政府は、
(1)天然資源に関する意思決定プロセス、特に公共投資の新政策や配分、選択
において、利害関係者(ステークホールダー)の参加と協議を、より広く
行うことを促進する。
(2)天然資源の真の価値をよりよく反映するような価格構造を促進する。
(3)森林管理を改善し、森林資源からの資源やサービスの持続可能な生産を確
保することに特別の注意を払う。もう一つは、世界銀行の見方で、これに
は、水管理文脈の中で、以下のように「管理戦略を水資源開発という方向
から、水利用、水質の権利、水価格に基づいて水利用配分のための効果的
な制度的枠組みに頼るものにシフトすることが必須だろう」と述べている。
(インドネシア共和国へ提案された分野別調整融資に関するIBRD(国
際復興開発銀行:世界銀行)総裁の理事への報告と勧告一九九九年四月五
ページ)
形成プロセス
九〇年代のはじめ、一九九三年の国連開発計画(UNDP)と国連食糧農業機
関(FAO)がスポンサーとなって行った天然水資源政策に関する研究以来、水
資源規制の必要が、取り沙汰されてきた。この研究の結論が水資源に関する国家
政策行動計画案(一九九四‐二〇二〇)であった。
その計画案は、他のものを含めて、水資源配分や水質、予算管理、民間セクター
やコミュニティの関与の強化に関する政策を勧告している。その案によって行わ
れた決定的勧告のが国家水資源協議会の設置です。
一九九七年、国家開発計画庁(BAPPENAS)は、「水資源政策とプログ
ラム改革のアジェンダ」というテーマでの一連の意見交換とセミナー(13の意
見交換と5つのセミナー)のスポンサーとなった。その目的は第七次五ヵ年開発
計画(REPELITA?)の作成過程へのインプットを行うことだった。
このプロジェクトは、たとえインドネシアがすでに水資源管理に関する戦略と
しての国家計画を持っていたとしても、現実には、(様々な機関によって実施さ
れている)この戦略の実施は、まだたくさんの弱点をもっているということを配
慮したことに基づいている。それらの意見では、私達の政策の方向付けを再び行
うことは、インフラ整備開発での投資の動きの後に留まっているし、私達は水資
源の配分や管理のための法律や制度的管理を持っておらず、そして、水質と環境
損失が開発への重大な障害となってきており、規制や明確な手続きの欠如のため
に、民間セクターの参加に関する私達の政策を機能しないものとしてしまってい
るというものであった。
一九九七年末、同時に、世界銀行は、インドネシアが水資源セクターの主要な
改革を実施するまでは、そのセクターへの融資は行わないことも勧告した。一九
九八年四月には世界銀行は、WATSAL(水資源セクター調整融資)と呼ばれ
る融資を通じて、インドネシアの水セクターの再構築プログラムを提案した。
インドネシア政府はこの提案を受け入れ、そして国家開発計画庁を通じて、イ
ンドネシア政府は省庁間チームを立ち上げた。このチームは、世銀のスタッフと
共に、水資源の規制を含めて、インドネシアでの水セクター再構築プログラムを
形成する担当となっている。
規制案の内容
水資源の規制案の二〇〇一年八月二三日版(一八章、97節)は、水管理パター
ンから始まって水資源の紛争解決と罰則決定へと、水資源問題を包括的に規制す
るように作られている。
上述されたように水資源をどのように見るべきかという点での変化が、十二章
に述べられており、それは、水資源管理は、社会的、経済的、環境的価値との間
の公平原則に基づくというものである。また、第四章では、水資源は、社会的、
経済的、環境的側面で機能するようになっていることも述べられている。
経済的機能、民間セクターの役割
水の経済的機能は、ビジネスの権利のルールを述べることによって再確認され
ている。これは、規制案の一、十三章の中で、商業目的のための水利用を定義し
ている。同じ章の中の二四節では、商業目的のために水資源を利用するための努
力として定義された水資源利用について述べている。ビジネスの権利は、水利用
許可を発行する担当部局からの合意で、部分的あるいは全体として貸与したり、
引き渡すことの可能な水利用許可の形で発行される水利権の一部であるとも述べ
られている(十章、八節、九節)。
これらの規則は、民間セクターが水を経済財にしようということの機会となる
と同時に、また法的根拠となっている。さらに、民間セクターは水資源を管理す
る機会を得ようとさえしている。規制案では、管理とは、水資源保全、効率的利
用、水を損なう勢力をコントロールするという作業を計画し、実施し、監督し、
評価するためのすべての努力と定義されている(一五章)。
「十三章1c節、十四章1c節、十五章、1a、1b節に述べられているように、
水資源管理の実施は、協力関係の管理者、BUMNBUMD、民間セクター、そ
してコミュニティに譲渡することができる」と述べられているので、もしも十七
章第3節に決められているような譲渡権限があるならば、この重大な権限も民間
セクターによって所有されることになる。十三章1c節は、地区や市を超えた流
域での水管理事業の地域政府の規制権限に関するものである。十四章1c節は地
区政府の規制、立法権限や、その地域での水資源供給、水利用、水事業への許認
可を定めている。
このように、規制案は、民間セクターが水管理事業へ参加するだけでなく、公
的機関が担うべき重要な役割である規制主体として参加することも可能にしたと
いうことだ。
水資源評議会
(Water Resource Council)
この規制で定められたもう一つの重要な点は、水資源管理への調整機関として
定義された水資源評議会の存在である。これは、国家レベル、地域レベル、流域
レベルにおいて設置される。評議会の存在は、八四章に定められており、水資源
管理の枠組において重要な地位にある。同章では、評議会の主要な義務は、政府
環境の内外での水管理に関連する様々な利害や活動を統合するための政策や戦略
を作成し、構築することであると述べている。特に、評議会の主要な義務は規制
案の様々な章で触れられており、例えば、七章では、ある地区内での流域と水管
理パターンの指定が、その地区の水資源管理評議会によって作成される勧告に基
づいて行われる。同様の手続きが地区間の水資源に対しても適用され、地域の水
資源評議会からの勧告に基づき、その決定はその首長の下で行われる。
しかし、水資源問題に対する一種の議会として評議会として活動するかどう
かは、いまだ明らかではない。その義務と権限から判断して、評議会は議会の
役割を果たすことを意味しているように思われる。八四章では、代表性原則に
基づいて、評議会が政府のスタッフと非政府のスタッフを同等の構成人員にす
ることが述べられている。一方で、評議会員の資格を持ち得る候補者について
の手続きやルールについては規制案では触れられていない。この評議会の重要
性を考えれば、規制案には、こうした面を含めておく必要がある。こうのよう
に重要な問題は大統領令や、政府規則(Government's Regulation)の中での
みで定められるべきではない。
コミュニティの権利、義務、参加
規制案の九章では、国は、健康で、清潔な、生産的な人生を実現するために日々
必要になる水を得る権利をすべての人に保障することが述べられている。
インドネシアは、伝統的、慣習法から生ずる権利を含めて(九章、十章)、伝
統的なコミュニティが水資源を利用する権利も保障している。問題は、伝統的な
コミュニティがその権利の実施が地域規制(Regional Regulation)に未だ依存し
ていることであり、「国益を考慮した」ルールによって制約されていることであ
る。
これらの権利が侵害されたかどうかを提訴することについては、伝統的なコミ
ュニティの権利も制約されている。提訴に関係する九一章では、提訴できる資格
を持つ組織は水資源問題を実施する組織であると述べられており、以下のような
特徴を持つとされている。
(a)法的な正統性がある。
(b)その法令で、しっかりと、その組織の目的が水資源の持続可能な機能に関係
していることを述べていること。
(c)その法令に合っている活動を行ってきていることである。
このように、伝統的コミュニティ(ほとんどすべてが法的な正統性はない)はど
のような提訴も行うことはできない。一方、そうした農民組織や消費者団体のよ
うに、たとえその機関の利害が、非常に水資源問題に関係していたとしても、こ
の特別な規定によって、それら以外の機関は適格でないとして制約されていた。
この規制案ではコミュニティに対して最も利益となるように、水資源管理への
コミュニティの参加が定められている(五章)。特に、水管理へのコミュニティ
の権利は一一章1a節に定められている。この節では、水資源管理においてコニ
ュニティは計画、実施、監視プロセスへの参加の権利があると述べられている。
しかし、コミュニティによる直接的参加なのか、それとも議会の代表者による公
的参加であるのか、「参加」という文言は未だハッキリしたものではない。
翻訳 川上豊幸
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ページ先頭に戻る