今年初となる国家戦略特区諮問会議が1月27日に開かれ、特区第2弾と言われる「地方創生特区」が3月中に指定されることが決まりました。 地方創生特区は、従来の国家戦略特区に比べると、地方の活性化をより鮮明に打ち出したものとなっています。しかし、それは4月の統一地方選挙を睨んでのことであり、本当に地方再生を目指したものとは思えません。

地方創生特区

画像:日本経済新聞1/13より

経済の自由化やグローバル化が進む中、日本国内でもそれに呼応するかのように様々な規制改革が進められています。特にTPP交渉参加と連動して進みはじめた国家戦略特区は、これまで聖域とされてきた分野の規制を突き崩すものであり、医療や教育など本来お金儲けとは一線を画すべきものにまで、ビジネスの領域を広げようとしています。

医療や教育あるいは水道など公共サービスは、生活に欠かせないものであり、公正・公平・透明性≠ェ強く求められるものです。そこにビジネスが広がっていけば、生活の質や生活そのものが、お金のあるなしに大きく左右されることになるのは必然です。 公共サービスは誰が担うべきか、誰を対象とし、どのように担うべきか。現在の政治体制や財政状況悪化の中で、日本の公共サービスは、いま大きな岐路に立っています。

かつて世界貿易機関(WTO)でも、この公共サービスを民営化させ、更に民間の私企業が国境を越えてそのサービスを行うための政策が進められてきました。その中心にあったのが、「サービスの貿易に関する一般協定(GATS)」です。しかし、WTOの多国間交渉が行き詰まる中で、GATSも頓挫したままとなっています。ところが2013年以降、「新サービス貿易協定(TiSA:Trade in Service Agreement)」が急浮上し、新たな局面が生じてきています。


外務省 TiSA

TiSAについては、すでにAMネットのブログや過去の『LIM』でも取り上げられているように、様々なサービスを対象とした貿易自由化のための協定であり、TPPと同じく秘密交渉で進められ、大きな問題を抱えているものです。

現在、その交渉に加わっている国は、日本やアメリカ、韓国をはじめ、EU28カ国も加えると48カ国という大規模なものとなっています。

公共サービスがいったん民営化され、更にTPPやTiSAが締結されれば、協定に含まれているラチェット条項等によって、後戻りできなくなってしまいます。

特区をはじめ、急速に進みつつある国内の規制改革のゆくえは、もはや「失敗すれば元に戻せば良い」と言えるようなものではなくなっているのです。

2015.02/報告 : 若間 泰徳
(NPO法人 AMネット)

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